症例
脊髄損傷による対麻痺婦人の妊娠・分娩について(7例の経験)
田部井 徹
1
,
我妻 堯
1
Toru Tabei
1
1国立病院医療センター産婦人科
pp.447-451
発行日 1978年6月10日
Published Date 1978/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205852
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過密都市における交通事故の増加,工業化社会における労務災害の多発などにより,最近では外傷による身体障害者が疾患によるものに比して相対的に増加の傾向にある。
身体障害の中でも,外傷性脊髄損傷による対麻痺者(paraplegia)は,歩行,排泄が障害されるため,予後不良で社会復帰も極めて困難とされていた。幸いにも医学の進歩と社会福祉の向上により,わが国でもこれらの人人が,全身状態を回復させ,ある程度は一般の健康人とともに社会生活を送ることが可能になりつつある。その一つの現われとして,対麻痺の女性が結婚し,妊娠・分娩に至る例が見られるようになった。イギリスでは,身体障害者に対する治療と社会復帰への対策が,とくに優れており,従って対麻痺女性の結婚・妊娠・出産例の報告も多い1)。
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