調査報告
母親側からみた予防的な養育支援訪問の効果に関する検討
廣田 直子
1
,
木村 由紀子
1
,
河合 智栄子
1
,
木村 有紀枝
1
,
飛安 美幸
1
,
河合 美香
1
,
白石 淑江
2
,
小林 純子
2
,
塩之谷 真弓
3
1田原市健康福祉部健康課
2愛知淑徳大学福祉貢献学部
3愛知県新城保健所健康支援課
pp.786-793
発行日 2015年9月10日
Published Date 2015/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200253
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
「健やか親子21」最終評価報告によると,妊娠・出産・育児に関する母親の不安を軽減し,育児を楽しみ,子どもの豊かな心の成長を育むための取り組みを講じることは,21世紀の母子保健上,きわめて重要であるとされている1)。
A市の人口は,2012(平成24)年4月1日現在,6万5944人,出生数は540人,妊娠届出者数566人であった。母子健康手帳交付時のアンケートでは,「経済的不安あり」(22.1%)が最も多く,「不妊治療あり」(10.6%),この1年間にうつ状態が「2週間以上あり」(8.7%),「心療内科受診既往あり」(4.9%),「喫煙・飲酒あり」(2.1%)の順であった。何らかのリスクがあり,妊娠中から支援を要するハイリスク妊婦は24.6%であった。
また,2012年度の4か月児健診のアンケート結果から,育児疲れで気持ちや体調が不調と感じる母親の割合は15.6%,育児を楽しいと思う母親は88.2%であった。
このような状況の中で,A市では妊娠期からの早期支援に向けて,2010(平成22)年度より母子健康手帳交付時の妊娠届出書および妊婦アンケートの内容を虐待予防の観点から改良し,ハイリスク妊婦の早期把握・早期支援に努めている。そして,ハイリスク妊婦への家庭訪問の結果,短期集中的な支援が必要であると判断した家庭には,妊娠中から,あるいは産後早期に保健師・助産師・看護師・保育士等による養育支援を導入し,育児不安の軽減や母子の愛着形成の促進,虐待予防につなげている。
今回,養育支援を利用した母親へのインタビューにより,予防的な養育支援の効果を明らかにした。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.