アメリカ便り・2
ミルウォーキー市における出産の現況
佐々木 茂
1
1ウィスコンシン医科大学
pp.154-157
発行日 1981年2月25日
Published Date 1981/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205818
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今日,産科学の進歩はめざましく,種々なリスクを伴った出産も,十分な管理のもとに無事,生児を得ることができるようになりました。また,分娩経過中に突発的に発生する産科合併症の早期発見が可能になって,周産期死亡率は極めて低くなってきました。一方,分娩監視装置のコードにつながれ,器械にとりかこまれた病院管理の出産が人間疎外の感情を生み,このアメリカにおいても最近home delivery(家庭分娩)を望む声も多いと聞きました。なぜ今の世にhome deliveryなのか,医師としては種々の疑問を持たざるを得ません。とはいえ,何故人々が家庭分娩を望むのか,私としても当然興味のあるところです。今ほど医師と患者の信頼関係の重要性が叫ばれている時はなく,こうした人々の感情を知らないで済ますことはできません。この種の問題について知る機会があれば,できるだけつっ込んでみたいと思っていますが,今回はまず手はじめに,アメリカの一大都市であるミルウォーキーで,どのように出産がなされているのか,ここの大学病院の現況を中心に報告しましょう。
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