サルとヒトの比較産科学・12
サルの妊娠(Ⅱ)
大島 清
1
1京都大学霊長類研究所
pp.143-153
発行日 1981年2月25日
Published Date 1981/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205817
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はしがき──助産婦さんたちとの交流
助産をしながら泣いた助産婦がいるという話を聞いた。会って話をしたいと尋ねたら,何のことはない,私のよく知っている助産婦さんだった。いつも目を輝かしている助産婦さんだった。「看護は愛である」と確信して張り切っている"ミッドワイフ"だった。最近,一緒にお産に立ち合ったが,そのとき彼女の目に涙は見られなかった。外に溢れる涙が内にひっ込み,ひっ込んだ涙の分だけ仕事に情熱を注ぐようになったのだと私には理解できた。
機会を作って話を聞いた。「何となく感激して胸がいっぱいになって」と,返事に困っている様子。よく聞いてみると,助産に感激して泣いたのは一度や二度ではないらしい。助産婦学校のときもそうだったという。人一倍感激家なのである。感激は大切だ。青春のシンボルであり,情熱のシグナルだ。日々これ新たに精いっぱい生きているものの証拠である。新井佳代子さん。その人の名だ。虎の門病院の産科1年坊主,しかし若手のホープである。
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