Medical Scope
妊娠初期における超音波断層法の意義
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.158
発行日 1981年2月25日
Published Date 1981/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205819
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超音波断層法(診断)ultrasonographyは電子スキャンの導入により,今日では私達の産科の臨床では絶対に欠くことのできない存在になってしまいました。このメディカル・スコープでも度々この診断法については取り上げてきましたが,今月は,ここに妊娠初期での利用法の意義をまとめて考えてみることにしました。というのは,最近では,ずい分以前と違った考え方のもとにこの超音波断層診断をするようになったからです。
まず,妊娠初期というのは妊娠8週から11週ぐらいまでの間とここではかりに考えておいて下さい。この頃の切迫流産の症状のある妊婦には,胎児が生きているかどうか,育っているかどうかを診断するために超音波断層法は非常に便利です。まだドップラーの聴診器で胎児心音がきこえない妊娠8週から,超音波断層法の電子スキャンでは胎児の心拍動が確認されます。したがって,妊娠9週で出血があったといって来院した妊婦にこれを行ない,胎児の心拍動を確認すれば,赤ちゃんは元気に育っていますよと確信をもって言えることになります。こんな方法では,もう広く超音波断層法は用いられていますが,この利用法を一歩進めてみて,たとえば,妊娠8〜9週頃に全妊婦をスクリーニングの意味で超音波断層診断してみるということはどうでしょう。それにはどんな意義が含まれているでしょうか。
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