Medical Scope
子宮収縮抑制剤
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.243
発行日 1981年3月25日
Published Date 1981/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205832
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早産しそうな症例,切迫早産の妊婦を治療することは私たちの産科の臨床では非常に大切な項目のひとつです。その時に用いるのが子宮収縮,すなわち陣痛を抑制する,止める薬剤です。今日までこの方面の薬剤には多くのものが用いられてきました。しかし,そのいくつかには批判的な面が出現し,利用できなくなってしまいました。そこで,今日話題となっているいくつかの子宮収縮抑制剤についてお話ししてみることにしました。
インドメサジンという薬を皆さんは知っていますか。日本ではインテバン,インダシンなどの名で市販されています。この薬剤は陣痛を誘発するプロスタグランディンに相反する作用を示すものなので,強力に子宮収縮を止める作用をもっているのです。ですから切迫早産を止めるにはもってこいの薬剤ですし,一時は確かに使われたこともありました。子宮収縮を止めるという点に関しては非常に有効なこのインドメサジンという薬剤は,実は大変な副作用をもっていることがわかったのです。それは母体に投与すると胎児に移行し,胎児の動脈管を閉じてしまうという副作用なのです。したがって,ひどい時には胎児は生きていられず胎児死亡となりますし,生まれてきてからも心不全を起こし,重症になります。ですから,子宮収縮を抑制するという意味では非常によいこの薬剤は,現在では妊婦には使用しないことになっています。
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