今月の主題 腎疾患診療のトピックス
薬物療法
免疫抑制剤
長沢 俊彦
1
,
北本 清
2
Toshihiko Nagasawa
1
,
Kiyoshi Kitamoto
2
1杏林大学医学部・第1内科
2杏林大学医学部・内科
pp.1588-1589
発行日 1982年9月10日
Published Date 1982/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217915
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糸球体腎炎は,遺伝因子と環境因子(細菌,ウイルス感染など)をtriggerとして免疫ネットワークの失調が起こり,糸球体局所においてI〜IV型アレルギー反応を生ずるために発症すると考えられている.免疫抑制剤はステロイド剤とともに,この免疫プロセスにおいて抗体産生抑制という本来の作用を発揮し,さらに糸球体局所における抗炎症作用を介して糸球体腎炎の治療に有効とされている.免疫抑制剤はステロイド剤にひき続いて,糸球体腎炎の有力な治療薬剤として登場し,一時かなり脚光を浴びたが,最近では糸球体腎炎の病型と免疫抑制剤の効果の対比が進み,意外に有効な病型の少ないことが認識され,かつ長期使用に伴う副作用もクローズ・アップされ,慎重に適応症例を選択して使用すべきであるというのが一般的な見解となっている.
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