Medical Scope
予定日超過妊娠(その2)
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.136
発行日 1980年2月25日
Published Date 1980/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205672
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妊娠の出産予定日が本当に正しいものであるとすると,これを超過した症例の分娩では,胎児死亡や,分娩時仮死の症例が増加するということは,古くから言われていました。現在のように,超音波断層診断などが進歩してくると,先月号に述べたように,妊娠の初期に正しい妊娠週数が診断され,分娩予定日も正確に求められるので,予定日超過という事実が,全く正しいと考えられる妊娠をどう管理すべきか,再び,この話題がクローズ・アップされてくるようになったのです。
アイルランドでの非常に膨大な統計資料によると,正しい予定日超過妊娠というか,正確な分娩予定日をこえても分娩に至らない妊婦は全体の約10%,つまり,10人に1人だそうです。これは,あくまでも正確に,超音波断層診断なども加えて分娩予定日を診断した人たちの成績ですから,実際には,分娩予定日はこえて分娩したが,妊娠の実日数はそんなにたっていず,予定日の算出が間違っていたという症例は含まれていません。この数字をみると,案外と真の予定日超過妊娠というのは少ないことがわかるでしょう。またこの事実は,私たちが今まで予定日超過と考えていたもののなかに,実際は,超過していない症例が多く含まれていたということを物語っており,分娩予定日の算出方式に,もう少し科学性ももたせ,正しく行うようにしなくてはならないと考えさせられます。
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