Medical Scope
予定日超過妊娠(その1)
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.60
発行日 1980年1月25日
Published Date 1980/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205662
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昭和54年10月25日から31日まで,東京において,第9回国際産科婦人科連合(FIGO)世界大会が開催されました。日本での世界大会ははじめてでしたが,4,000人もの出席者で大成功をおさめました。今回から,この第9回FIGOでの話題を解説することにしましょう。
世界的な話題のひとつに,予定日超過妊娠があります。この予定日超過妊娠についての各国の検討が行われましたが,その内容には,お国ぶりがうかがわれ,私たちの興味をひきました。日本では,妊婦が妊娠の診察に産科医を訪れる際に,ほとんどの女性は,はっきりと最終月経の月日を記憶しているので,私たちは,ただちに分娩予定日を計算することができます。ところが,諸外国のなかには,女性の一般的な教育程度がかなり低いために,最終月経をほとんどの女性が告げることができない,というより,覚えていないという国もあり,この国のドクターたちは,本当の予定日を決定するのに大変苦労するのだそうです。またオーストラリアの原住民のなかには,月経の話をするのがタブーとされている人々もいて,ドクターが聞いても答えず,妊娠の診察にも,胎動がでてからはじめて来るので,いつからが予定日超過なのか,その診断にむずかしい問題をかかえているようでした。
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