特集 胎盤
その基礎と臨床
予定日超過と胎盤機能
塚田 一郎
1
Ichiro Tsukada
1
1国家公務員共済組合連合会稲田登戸病院産婦人科
pp.1005-1008
発行日 1966年12月10日
Published Date 1966/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203610
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はじめに
古くから,胎盤には一定の寿命があつて,分娩予定日を過ぎると胎盤に老化現象が起こり,その機能が低下するという素朴な考え方がある。
特に,1954年Clifford1)がplacental dysfunc—tion syndromeと予定日超過との密接な関係を主張して以来,"placental dysfunction"が予定日超過の病態を特色づけるものとしてクローズアップされてきた。Cliffordのいうplacental dysfun—ction syndromeとは,生理的限度を超えて妊娠が持続すると,1)胎脂が減少してきて皮膚が羊水で浸軟され,生後しばらくすると皮膚が乾燥して落屑をみるようになる,2)胎盤の老化によつて母体からの栄養の供給が減少し,胎児が栄養失調になつて瘠せた細長い体になる,3)胎盤における酸素交換が悪くなるために,胎児に低酸素症ないし無酸素症が起こり,胎糞が漏出して羊水が汚染し,胎児の皮膚,卵膜,臍帯などが黄色または緑色に着色されるというもので,この説明によつて予定日超過と結びつけられた。
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