専門職への道
分娩介助の助産婦の立場からの検討
田間 恵実子
1
,
相薗 紀代子
2
,
北山 節子
3
,
大西 玲子
4
1大阪大学医学部附属助産婦学校
2大阪大学医学部附属病院分娩育児部
3富山県立総合衛生学院
4大阪労災病院
pp.856-860
発行日 1979年12月25日
Published Date 1979/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205646
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はじめに
分娩介助について考えなおしてみようと思いはじめたのは,卒業生が持ってくる問題にすっきり答えきれなかった、おおよそ5年前にはじまる。曰く,先輩助産婦たちが何よりも縫合を要するような会陰裂傷をおこさないことを目標に仕事をしているようにみえること,自分たちに対してもそれを求められるけれども臨界線に達するまでに医師によりはやばやと会陰切開がなされてしまうこと,「ちょっと(切開を)待って下さい」という声も「大丈夫か(切開をしないでも裂傷をおこさないですむのか)」という問いかけにあって尻込みしてしまうこと,学校では助産と同じくらいのウエイトで保健指導についても勉強するけれど,病院では人員配置上の問題もあって分娩介助一辺倒になってしまうこと,その結果,産婦と一緒に喜び苦しんだ"受持継続症例"(学生時代の経験)と異なり,感情が伴わないまま身体を動かすようになり,だんだん器械的な仕事をするようになりそうでコワイ,などである。
以来,これはじっくり考えて自立した専門職としての回答を見出さねばなるまいという思いが私たちの中に根をおろしたわけである。相薗,北山,大西,田間が母校に顔をそろえた機会に,仕事上のことで疑問に思っていることを,ファントームを用いて実演したりしながら話しあって,ますます,助産婦が専門職であるためには考えるべき問題点が多くあることに思い到った。
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