特別寄稿
妊娠・分娩と夫の役割—第2報
入内島 明美
1
,
唐澤 陽介
2
1三楽病院付属助産婦学院
2三楽病院産婦人科
pp.136-143
発行日 1979年3月25日
Published Date 1979/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205509
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1.はじめに
最近,国の内外において,妊娠・分娩・育児といった一連の種族保存の営みに対する社会としての取り組み方が種々の面から注目されるようになってきた。このような趨勢は今後さらに顕著となるであろうが,さまざまな立場にある人々が,男女を問わずそれぞれ広い視野に立ってこれらの問題について考えそして発言してゆくことは極めて好ましいものということができよう。
母子保健学の分野においても,このような状況を踏まえて,専門的見地からの検討が行われつつあるように見受けられるが,この種の問題が語られる時,中核的役割を果たすべき母子保健専門職者の活動は量的にも質的にもいま一つの不十分さを感ぜられるのである。女性をめぐるあらゆることがらが,はじかれたごとくに動き出している現在,常に既成事実を追認するようでは母子保健の前途は必ずしも明るくないと考えなければならない。というよりは,社会全般の動きと母子保健学との間に調和にかけるところがあり,それぞれが互いに融和を求めることなく進歩を続けた結果,相容れることが許されないくらいの隔りが生じてしまったと言うほうが当たっているのかも知れない。
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