ケース・レポート
唇裂・口蓋裂の児を出産した母親への看護
中川 久美子
1
,
増田 安代
1
,
平川 久恵
1
1佐世保市立総合病院産婦人科病棟
pp.144-150
発行日 1979年3月25日
Published Date 1979/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205510
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1.はじめに
唇裂・口蓋裂は出産500〜700人に1人の割合で出現し,先天奇形の中では発生頻度が高いと言われている。当院においても過去5年間の分娩件数2,414件中3例の口唇・口蓋裂児の出産を経験している。口唇裂は外表奇形の中でも顔面にあらわれるものだけに,出産した母親や家族は大きなショックを受け,児の保育を唇裂修正時期まで施設に依頼するケースが多い。しかし,児への愛情や術後管理を容易にするためには,家庭で養育されることが望ましい。そのため私たちは長期的ケアの上にたち,両親が社会的偏見に影響されることなく,家庭で養育する決心をいだくよう,奇形児をもつ親の心理を配慮しながらできる限りの援助を行なわなければならない。
今回,このような児を出産した母親へ唇裂修正時期まで家庭で養育する決心をいだかせ,無事退院するまでの貴重な看護の経験を得たので,母親に対する精神的援助と保育管理をまとめて報告する。
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