特集 特別寄稿・Ⅱ
妊娠・分娩と夫の役割(第1報)
入内島 明美
1
,
唐沢 陽介
2
1三楽病院附属助産婦学院
2三楽病院産婦人科
pp.352-359
発行日 1978年6月25日
Published Date 1978/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205389
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.緒言
時の移り変わりとともに,多くのことがらに対する価値観が変った。何時の世にもそのようなことは常に存在し,人類の進歩をもたらす原動力の1つとなってきたが,現代ほどめまぐるしく変動し,かつ多種多様の価値観が存在する時代はかつてなかったであろう。申すまでもなく,価値観の変化は社会を変え,人々の生活を変えずにはおかない。医学,保健といった領域も例外とはなり得ない。特に社会や家庭と文字通り密着する母子保健においては,社会全般の意識の変化がすべてを引っ張ってゆく観すらある。
したがって母子保健関係者は,他の医療分野とは全く異った感覚で社会の動向に反応し,社会のコンセンサスを重要視してことに当らなければならない。そのような状況下で,社会との調和を失うことなく,母子保健全般の水準を向上させることは決して容易ではない。時として試行錯誤的な行動や事業を余儀なくされる場合もあるが,そのような経験を積み重ねて進歩への糸口を見いだしてゆく努力が大切なのではないだろうか。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.