Medical Scope
胎児脳波(FEEG)
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.685
発行日 1978年10月25日
Published Date 1978/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205454
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胎児脳波はfetal encephalographyといい,その略語はFEEGとされています。このFEEGはどんなふうにしてモニターできるのかといいますと,ちょうど,私たちが妊婦に外測法で胎児心拍数をモニターする時のように,母体の腹壁から,胎児の頭部のあるところヘトランスジューサーをおいて,胎児の脳波をとるのです。トランスジューサーの大きさも,ちょうど,胎児心拍数モニター用のものと同じぐらいで,妊婦は,子宮収縮をはかるものと,胎児心拍数用のと,胎児脳波のと,3つのトランスジューサーをお腹にのせられることになります。2つでも3つでもあまり差はないようで,妊婦自身の苦痛は何もないようです。
この胎児脳波をとる目的は,分娩中に,いつ,どんな時に,どのような状態の時に,胎児は脳に障害を起こすのだろうか,その瞬間を捕えるためというのが第1の目的なのです。そして,それを知ることは,第2の目的として,私たちは,いかにして,脳障害を起こさないように胎児を守ることができるかを考えることになるのです。私たちは,時々,いつか分らないが,分娩中に脳障害をうけてしまった症例を後から発見します。しかし,こんな症例が,いつ,どんな病態のとき脳障害が発症したのかが判明できれば,次からは,そんな脳障害を作らずにすむので,大変有意義な研究といわなくてはなりません。
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