読影のポイント
脳波の読み方—(6)異常脳波
喜多村 孝一
1
1東京大学医学部脳神経外科
pp.802-805
発行日 1966年6月20日
Published Date 1966/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204000
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前号までに,正常脳波についていささか冗長気味なほどに記載したが,それは,脳波の異常をよみとるためには,たとえ「脳波の読み方」というごく実用的な面においても,正常脳波に関する十分な知識が不可欠と考えられるからである.極端ないいかたをするならば,正常脳波を十分に理解,体得すれば,その範疇からはずれるものがすべて異常であると考えてよいわけである.しかしながら実際に脳波を読むにあたつてはそれだけの知識で十分とはもちろんいえない.
すでに読者はお気附きのことと思うが,脳波の正常の範囲,異常と正常との境界はかなり漠然としており,臨床診断にあたつてその処置に迷うことは決してまれでない.臨床症状その他を参考として,正常,異常の判定が下されるが最後まで決定を保留せざるをえないこともある.したがつて,どこの検査室でもこのような脳波に対しては,正常とも異常とも決定せず境界線上borderlineという言葉を用いている.このようなあいまいさに対処し,脳波を臨床検査法の一つとして駆使するには,多くの脳波に接しこれを体得し目を肥やすより他には方法はないであろう.以下号を追つていろいろの異常脳波の実物をお目にかけ説明を加えて,"脳波を読む目を肥やす糧"にしたいと思う.
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