特集 母と子のきずな
動物にみる親子のきずな
増井 光子
1
1東京都多摩動物公園
pp.550-554
発行日 1978年9月25日
Published Date 1978/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205428
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人の世の子育ても,長い歴史の間には,さまざまに変わってきたようだ。昔は赤ン坊は大ていは家庭で生まれ,オンブに抱っこで育ってきた。母親が忙しくて手が離せない時は,姉さんなどが赤ン坊をオンブし,あやしていたものだ。殆んどの赤ン坊が母乳で育ち,中に重湯や粉乳で育つ子があっても,それは乳がどうしても出ないとか,病気とか,万止むを得ない時に限られていた。
それが最近は,多くの赤ン坊は哺乳ビンで育てられ,母親の代わりにおぶってくれる兄姉も少なくなり,泣かせたほうがいいの,いや泣かせないほうがいいのとか,抱いてばかりいては抱きグセがつくとか,赤ン坊のほうの欲求より親のほうの意見が強く押し出されているような感じさえする。
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