連載 カラーグラフ
なるほど人体—Human Body World・17
胎児と母親のきずな
坂井 建雄
1
TATSUO・SAKAI
1
1順天堂大学・医学部解剖学第一講座
pp.412-415
発行日 1997年5月1日
Published Date 1997/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905333
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新しい生命の第一歩は,精子と卵子が卵管の中で受精したときに始まります.受精卵は分裂をしながら,やがて子宮にたどり着き,そこに着床します.そして着床した胚子は,生命にとって必要なものすべてを母親から受け取りながら,子宮の中で成長していきます.約10か月の間を,母親の胎内で過ごして,胎児は出産の時を迎えます.
この10か月間という時間は,母親と胎児が,ほかの誰にも立ち入ることのできない強いきずなで結ばれた,2人だけが共有する時間です.胎児は,どのようにしてお母さんと結ばれているのでしょうか。また身体に必要なすべてを,お母さんを通してどうやって受け取るのでしょうか.今回は,その胎児の生命の仕組みについて考えてみましょう.
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