Japanese
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特別企画 母児早期接触の看護的再検討
抄訳
母から子への「きずな」—Mother-to-Infant ‘Bonding’
Reprinted with permission from J, Child Psychol,Psychiat
M. ヘルバート
1
,
W. スラッキン
1
,
A. スラッキン
1
,
横田 正夫
1
1群馬大学医学部神経精神医学教室
pp.202-207
発行日 1985年3月25日
Published Date 1985/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206607
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序論
親子関係が子どもの発達のいろいろな面に重要であるとする研究は,ソーシャルワーク,小児医学,小児精神医学などの分野で長い期間積み重ねられてきた。それらの領域の研究者たちが親子関係に関心をよせる理由は多いが,その大部分は,心身両面にわたる幼児の虐待を予防しようとする政策的論議から生まれたものである。被虐待児は,正常児よりも未熟児と疾病新生児に高率にみられるといわれており,たとえば,母と子のきずなの成立過程の失敗や崩壊あるいは歪みによって,母に母性拒否が起ったためと説明されている。
家族は安定した社会の基盤をなし,さらに家族内の安定性は親と子の相互のアタッチメントに根ざすものである。アタッチメントには,子から親へのアタッチメントと親から子へのアタッチメントがある。前者については過去3,40年間にわたり多くの研究者が注目してきた。後者については前者ほど広範な研究がなされたわけではないが,全く無視されてきたわけでもなかった。最近の10年間に,生物学的要因によって母から子へのきずなの形成が影響される可能性について多くの関心が払われてきた。それは,子の誕生後一定時間内に母は子に対するきずなを形成しなければならない,とするものである。
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