特別企画 母乳哺育の推進へ向けて
桶谷式手技研修会とその広がり
研修会レポート
開業助産婦の立場から
褥婦に貢献できる自信と喜びの機会
柏 悦子
,
大平 純子
,
芳中 シゲ子
pp.500-501
発行日 1978年8月25日
Published Date 1978/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205417
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■期待と不安に胸おどらせながら上京
大阪の小さな助産院に嫁して十数年,助産婦業務と地域活動(沐浴指導,新生児訪問,家族計画指導,育児相談等)をしていく中で,出産後の授乳困難,乳頭の異常,乳汁分泌不良,乳汁分泌過多,乳腺炎等々,乳房のトラブルがいかに多いか,母乳確立がいかに難題であり,安易に人工栄養へと移っていくお母さん方の多いことかと悩み,焦燥にかりたてられる毎日でした。それでも何とか母乳栄養をと考えながら,「痛いのがあたりまえ,多少は辛抱して」「お産の痛みに堪え,お乳の痛みに堪えて,母親は強くなっていくのだ」と言っては,従来の乳房マッサージを繰返してきた私たちにとって,助産婦雑誌で目にした「桶谷式乳房治療手技,痛くないマッサージ」に驚きとともに,不勉強を恥じながらも救われる思いがいたしました。ぜひ先生のご指導を仰ぎたいと機会を狙っておりましたところ,ちょうど研修会のご案内を目にし,さっそく申し込みました。
5月21日,眠けの覚めやらぬ目をこすりながら始発の新幹線に乗りこむ。車中私たちは,いろいろ話合いましたが理解できず,期待と不安に胸おどらせながら"百聞は一見にしかず"と会場に向かいました。ぎっしりの聴講生,若い人たちの間に年配の方が,1人,1人また1人,とても嬉しく感じました。机の上に置かれた手づくりの乳房の模型をなで回しながら,熱心に耳を傾ける皆の顔は緊張ぎみ。
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