◆特集 介護老人保健施設における作業療法—OTのジレンマを考える
ジレンマとともに,喜びとともに
足立 みゆき
1
1中町赤十字老人保健施設
pp.570-573
発行日 2005年12月15日
Published Date 2005/12/15
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はじめに
リハビリテーション(以下,リハ)システムの確立したリハセンターでわずか数年の臨床経験しか持たなかった筆者が,セラピスト1名という配置基準の下,高齢者のみを対象とする老人保健施設(以下,老健)の中に何もわからないまま飛び込んだのは今から14年前のことである.当時は老健について相談できる先輩が身近になく,ひたすら老健に関する文献を読み,老健大会や研修会に参加し,老健でのリハのあり方を模索していた.
この14年間に老健は老人保健法から介護保険法へ移行し,対象年齢の下限が条件付きで40歳以上に広がり,医療依存度の高い利用者,認知症の利用者が増加し,施設入所志向も高まってきた.また病院在院日数の短縮により回復期の利用者も増加し,老健のニーズは多様化してきた.今年1月,全国老人保健施設協会は環境の変化に合わせた新しい理念,機能・役割を掲げた1).その役割の柱を維持期リハの中核施設であること,在宅復帰・在宅支援施設であることとした.
変わりゆく対象者・家族,増え続ける多岐多忙な業務の中,老健におけるリハの役割を果たそうと,筆者が悪戦苦闘を強いられているジレンマについて私見を述べながら整理してみたい.
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