連載 スポーツ用義足の最新事情・第1回【新連載】
「歩く」から「走る」への機会創出
岩下 航大
1
,
大野 祐介
1
Kodai Iwashita
1
,
Yusuke Ohno
1
1公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンター
1TETSUDO KOUSAIKAI FOUNDATION Prosthetics and Orthotics Support Center
キーワード:
切断者
,
義足
,
スポーツ用義足
,
パラスポーツ
,
パラリンピック
Keyword:
切断者
,
義足
,
スポーツ用義足
,
パラスポーツ
,
パラリンピック
pp.673-680
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202857
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はじめに
パラスポーツを通して発信される価値や活動は,多くの年月を重ね,世の中の人々へさまざまな気づきを与え,より良い社会を作るための社会変革へ大きな影響を与えている.その中でも「パラアスリートの社会的ムーブメント形成への影響度」を探る調査結果1)では多くの義足・義手のアスリートが上位にランクインしており,世間が受け取る情報量は飛躍的に増加し,その影響度は非常に高くなってきている.
自国開催となった東京2020オリンピック・パラリンピックでも,失われた部位の機能を最大限に引き出すスポーツ義足と融合し達成される,最高到達度のパフォーマンスは,多くのマス/ソーシャルメディアでも取り上げられ象徴的な存在として注目を集めた.
しかし,その高い活動性を紹介する媒体による恩恵がある一方で,情報を受け取る側の印象と,臨床現場にいる医療従事者が知るべき下肢切断障害の実態(急性期〜生活期/切断直後のリハビリテーション過程など)との間に乖離が生じていることも事実である.
よって,本稿では義肢装具製作から社会復帰,パラスポーツ支援までを担う国内,民間で唯一の義肢装具に特化したリハビリテーション施設(入院/外来)の医療従事者(理学療法士/義肢装具士)の立場から,
① 医療従事者が知るべき下肢切断者の実態
② 「歩く」から「走る」への機会創出への取り組み
③ 常用義足と走行用義足の違い
④ はじめての走行動作獲得に必要な要素(評価介入)
を中心に詳述していく.
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