連載 私と読書
問い直される医学史—「医学をみる眼」を読んで
川島 美知子
1
1日本看護協会看護研修学校
pp.486
発行日 1974年9月25日
Published Date 1974/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204751
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- 文献概要
私は今,看護についてあらためて勉強しているところである。もちろん,看護については,多くの方々により定義されているし,看護の本質は時代によって変わるものではないと思っている。私自身,真の看護ができるように,いくらかでもそれに近づくことができるようになりたいと思っている。それには,自分なりのしっかりとした看護に対する考えを持つことが土台であろう。なぜならば,私自身が看護するのであるから。
そこで本書が今の私にとって,いくらかでも参考になればという期待をもって読みはじめたのである。本書には,医学史が記されているが,歴史の意義について著者は"まえがき"の中で強調している。すなわち『人間が前に進むために,自律的な途を選ぶために過去と訣別する対話である』と。そして著者の史観に基づいて,歴史の流れの中で医学は,どのようなプロセスを経て体系化されてきたのか?どこに問題があるのか?そしてこれからの医学の方向はどうあるべきか?などが具体的に述べられている。本書を読むにあたって,私は歴史のもつ意義について,改めてその必要性を感じたのである。
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