インターホン
原宿シャンゼリーゼの一郭で
成田 由美
1
1日本看護協会看護研修学校
pp.487
発行日 1974年9月25日
Published Date 1974/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204752
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原宿の研修学校に通い始めて4か月が過ぎた。一学期が終わろうとしている
春は黄みどり色の暖かさを提供していた表参道のけやきも,夏をむかえて広い木陰を作り,そよそよと涼しさを運んでくれるようになった。あまり人通りも多くなく,静かでモダンな,そして清潔な街並みが,いっぺんで気に入っていた私である。原宿シャンゼリーゼというこの通りは,ウインドウには素敵なドレスや,バッグや,靴が並び,しゃれた感じのコーヒー屋さんや,ケーキ屋さん,レストランがあり,女性なら思わず足を止める陶器屋さんや,外人がやたら大きな荷物をかかえて出て来る民芸品屋さんがあったりで,毎日通っていても,道々が楽しくてつい,道草をしてしまうのである。そして,石焼きじゃがいも屋さんが,屋台を引いていたりする日には,どうしたって誘惑に勝てるわけがないのである。
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