特集 食品公害と妊婦の食生活
汚染食品と妊婦への食事指導
吉川 孝子
pp.34-35
発行日 1973年9月1日
Published Date 1973/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204575
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和歌山県に近い人口8万の泉佐野市は,大阪湾の沿岸に位置し,新鮮な魚を毎日食べて暮らすことの多い所です。ところが産業工業の発達で,当地もご多分に漏れずあの青い海はどこへやら,沿岸は埋め立てられ,工場の煙突は増え,針金工場が建ち,昔は漁師の町の華やかさがあったのが,わずかの漁場を残して姿を消してしまいました。それでも,魚は漁業協同組合の卸売り市場を通じて豊富に入荷され,魚屋さんの店先を賑わしています。
ご承知のとおり,魚は妊産婦にとって蛋白質の源であり欠かすことのできない食品です。ところが,最近のように,汚染魚,PCBと大きく新聞・テレビなどのマスコミによって報道されると,まったく関係のない所,物までも,あたかもそのように思われるのです。マーケットの魚屋さんの店先には,「当店入荷の魚は汚染魚ではありません。安心して食べて下さい。大阪府卸売市場」という貼紙が大きく貼られています。けれども妊婦にとって不安をいだかずにはおれないようです。私どもの助産院へ来る妊婦の中には次のような例もあります。
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