特集 食品汚染
公害による食品汚染—カドミウムを中心に
石崎 有信
1
1金沢医科大学衛生学教室
pp.340-347
発行日 1975年6月15日
Published Date 1975/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205016
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はじめに
食品が汚染されて有害物質を含むようになり,大きな社会問題になった事件が近年いくつも現れている.どのような経路で汚染されたかを第一に考えねばならないのは当然で,たとえば食品添加物の有毒性の問題,森永砒素ミルク事件やカネミ油症事件のように加工過程における事故,残留農薬のように生産過程に問題のあるものとそれぞれに区別されねばならない.
またひとくしく公害と呼ばれている環境汚染の結果おこったものであっても,その有害物質の性質によって対策の考え方が当然変ってくる.PCBのように人工生成物であって自然にはないものならば,それが皆無になることを目標に対策を考えればよいが,水銀やカドミウムのように広く自然界に分布しているものに対しては違った対応が必要となる.
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