リプロダクション
体外受精—いわゆる試験管ベビーについて
鈴木 秋悦
1
1慶応大学医学部産婦人科
pp.64-65
発行日 1971年11月1日
Published Date 1971/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204275
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最近,イギリスの新聞の報道で「試験管ベビーが,いよいよ生れる」というニュースが入ってきて,日本のジャーナリズムをにぎわしていることは衆知のことであるが,いささか関連のある研究をしている筆者のところにも,質問がたえない。しかし,この問題は,非常にセンセィショナルなことだけに誤解されている点も少なくなく,倫理的な問題,宗教上のことなどもからんで,種々の取りあげかたをされているが,本稿では,医学あるいは生物学的な問題に限って,その研究の現状と意義についてのべることにする。
まず「試験管ベビー」という言葉についてであるが,この言葉が誤解をまねく原因のひとつであり,正確には,体外受精ということにすぎなく試験管の中でベビーが育つというように曲解されている。
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