海外の産科医療事情その4
ソ連の産科医療(2)
唯 正一
1
1唯産婦人科
pp.63
発行日 1971年11月1日
Published Date 1971/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204274
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Heins博士は前回ふれたモスクワ第1産科中央病院と第25地区産院で約1か月間,周産期死亡の立場からソ連の産科医療の実情を研究しました。分娩第1期の疼痛緩和には,おなじみのLamazeの精神予防性無痛分娩に加えて笑気がおもに使われますが,まれにはトライレンも使われます。第2期には薬剤による麻酔は使用されません。また会陰側切開もめったに行なわれません。新生児は原則として母乳で育てられます
前置胎盤・常位胎盤早期剥離の処置は米国とほぼ同様ですが,社会保障が徹底し医療費が無料のため,疾病中心のみで入院が実行されていることは印象的です。前置胎盤では1か月以上も分娩までに入院している例も少なくありません。妊娠中毒症でも血圧20mmHg以上の上昇,軽度の蛋白尿も入院の適応となり,完全に早期発見・治療が行なわれています。反覆帝切の場合も,予定日3〜4週間前から入院させるのが普通のようです。
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