婦人ジャーナル
子どもの未来は子どもの手で
山主 敏子
pp.57
発行日 1971年8月1日
Published Date 1971/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204189
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このごろは天才教育とか,早教育とかいうことがさかんにいわれている。幼稚園児にむずかしい漢字を教えるところもあれば,小さな子をひっぱって,バレエだピアノだ,バイオリンだと,おけいこ事にうつつを抜かしているママもいる。特に音楽に関しては,早く指の訓練をしなければいけないと思いこんで"もういまからでは遅いんじゃないかしら"などと,あせっている。ピアノの先生にきいたら,そんなに小さな時からやらなければダメということは決してありませんという話だった。
だが,世界の天才的な音楽家の伝記を読んでみると,なるほど小さい時から才能を発揮した人が多い。モーツァルトは3歳のときに姉がピアノをひくのを見ていてたちまち覚えてしまい,5歳のときには作曲をした。父は"この子には天分がある"と感心して,自分が宮廷音楽家として出世することもなにも打ち捨てて,モーッァルトの音楽教育に専念した。おかげでモーツァルトはヨーロッパ中に神童の名をほしいままにした。教育パパの目的はりっぱに達せられたわけである。
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