婦人ジャーナル
非行に走る子どもたち
山主 敏子
pp.53
発行日 1971年11月1日
Published Date 1971/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204268
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"まだほんの子どもでございまして"とは母親がよく言うセリフである。ほんとうの子どもの場合は言うまでもなく,結婚適齢期の娘をつかまえても同じことを言う。親というものは,わが子をいつまでも子どもだと考えていたがる傾向がある。やがて母鳥のつばさの下から飛び立って行く日がくるのを一方では期待しながら,そのくせなるべく遅くさせたいという気持が働いているのだろう。
ところが子どもというものは,おとなが考えているよりもよほど複雑な心の働きを持っている。このごろは身体の発育が早くなったのと同時に,心の成長も親たちの子ども時代にくらべてグンと早い。6歳の子が鉄道自殺をはかったり,7歳の子がポルノを集めたり,9歳の子が家出をしたり,そんなケースは数え上げればいくらでもある。親たちは子どもがそうしたおとなじみたことをやらかすとびっくり仰天してあわてふためく。それは常日ごろ,子どもというものを正当に理解することを忘れているからなのである。
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