連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・69
木々の恵み,生きる力―子どもたちに未来を
柳田 邦男
pp.1016-1017
発行日 2011年10月10日
Published Date 2011/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102235
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私は北関東の小さな田舎町だった栃木県の鹿沼町(現在は市)で生まれ育った。関東平野のはずれの鹿沼の北から西にかけては,山々が連なり,その奥には日光連山などがそびえている。そんな土地柄なので,江戸時代から木材の集散地として,また木工の盛んな町として存続してきた。
鹿沼はまた,徳川家康を祭るために建てられた東照宮に参拝する人々の宿場でもあった。東照宮の補修などに江戸から派遣された大工や彫刻師たちが,行き帰りに鹿沼に宿をとると,小遣い稼ぎに,東照宮の欄間などを飾った南蛮風の動物や鳥や花などの豪華な彫刻に似せた個性豊かな山車「彫刻屋台」をつくった。鹿沼には旧市街地の町ごとに1台ずつ,計27台の彫刻屋台があるが,そのうち13台は江戸時代につくられたもので,市の有形文化財の指定を受けている。
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