カラーグラフ 終える命 つなぐいのち・第11回
復興担い未来創る子どもたち
國森 康弘
pp.143-147
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688200389
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7つの新生児用ベッドから、競うように泣き声が上がる。一人ひとり、目鼻立ちはもちろん、声の響きも、身のよじらせ方も、顔の赤らみ具合も違う。
「この子たちが町の復興を担い、未来を創る。いくら自分が疲れていても、産声を聴くたびにやりがいを感じます」。南相馬市立総合病院の安部宏医師は、目を細める。実家は放射線量が高くて暮らせない地区にある。自らも被災し避難生活を送りながら、同病院唯一の産科医として勤めてきた。震災で市内の産科は大半が閉院し、現在は同病院のほか、クリニック1軒のみ。月に2日程しか家族との休日を過ごせないが、「この地で市民の出産、育児ができないと町が消えてしまう」との危機感から自らを奮い立たせる。
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