婦人の目
子どもの遊び場
山主 敏子
pp.61
発行日 1969年8月1日
Published Date 1969/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203790
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子どもの交通事故が年ごとに増加している.たえまもなく自動車が流れる大通りを,黄色い旗を持って横断していく子どもを見ると,まったくハラハラしてしまう.子どもは黄色い旗さえ持っていれば大丈夫と,お守り礼を持っているように信じ切って恐れ気もないが,信号無視の暴走車がいつなんどき旗もろとも子どもをふっ飛ばしてしまうかもしれないからだ.わが家の近所でも道路が拡張されて,ちょうど小学校の前が大通りになるというが道路ができると同時に歩道橋も作ってもらわなければ,お母さんたちは安心して子どもを学校へやることもできない.
交通事故とともに,夏は子どもの水の事故が急増する.水をもとめて急に深くなっている川で泳いだり,少し泳ぎの達者な子は海へいって,つい油断して高波にさらわれたりする.そのような自分の遊びのためばかりではない.都会でも田舎でもいたるところに水禍は子どもを待ちかまえている.このごろよくあることだが,つい先日も,東京で満1歳の男の子が自宅台所の洗たく機に,頭からさか立ちするようなかたちで落ちておぼれ死ぬという事件があった.赤ちゃんはお母さんが洗たくをするのをそばで見ていたが,お母さんがちょっと庭へ洗たくものを干しにいっているあいだに落ちたらしい.きっと中の水に手をのばそうとのぞきこんだものだろう.普通洗たく機は相当の高さがあって,のぞいても落ちないはずだが,あいにく30センチ下のコンクリート床においてあったため,とんだことになった.幼児を持つ家庭では,こういう器具の置き場にも細心の注意を払うべきである.
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