連載 とらうべ
未来ある子どもたちのために
幕内 秀夫
1
1F&H研究所
pp.1139
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100344
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滋賀県に出張した際,地元の新聞を見て愕然としてしまった。そこには近江八幡市の教育委員会が発表した,小学5年生の血液検査の結果が掲載されていた。なんとコレステロールの高い子どもが40%。要治療の子どもが20%もいると言うのである。これは1つの市の結果だが,全国的にも同じ状況になっているだろうと指摘されている。ところが,こんなことで驚いていては始まらない。愛知県のある市では,糖尿病抑制運動の一環として合宿を行なうと言う。その対象は小学校3年,4年生だ。何となく,むし歯やアトピー性皮膚炎という,生命に差し障りの少ない病気から,いよいよ生命を脅かす病気に変わってきたような気がしてならない。
その原因は何か。多くの人が指摘するように,外遊びの減少,夜型生活,そして食生活の問題が大きいと思う。しかも,小学生の年代で問題が浮上してきたということは,幼児期,あるいは離乳食の時期から問題が始まっていることになる。現在,子育て中のお母さんたちは,私たちの世界で言う“バラバラ世代”が中心になっている。私のような昭和20年代に生まれた者に,「子ども時代,朝食は何を食べていましたか」と聞けば,迷わずに「ご飯とみそ汁」と答える。昭和50年代以降に生まれた人に同じ質問をしたら,「ご飯とみそ汁」「パンと牛乳」「シリアルとジュース」「菓子パンと牛乳」「サラダとヨーグルト」「ハンバーガーと清涼飲料水」とバラバラな答えが返ってくる。副食や間食はもっとバラバラである。本人に責任はないが,そういう時代になっている。子どもの健康問題が浮上してくるのも当然なのである。
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