インターホン
幼児教育について
細田 八重子
pp.56
発行日 1970年8月1日
Published Date 1970/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203974
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人格は3歳にして作られると人はいう。教育は0歳より始めなければならない。ゆえに助産婦も幼児教育をおおいに勉強しなければならないとママとなる日が近づくにつれ思うようになった。今後の幼児教育も人間形成の場であり,またかつ円満で豊かな人格の達成でなければならない。まず教育対象が獲得しなければならない能力において定められるものであること。次にあげられるものとしては教育対象のその時その時の正常さ,ノーマルであること。バランスがとれていることということになる。前者は発展段階的に展望されるものであるし,後者はその時その時の活動の量と質にかかわってくる。目指するもの,確認するものと,教育の実態は,この両者のあいだで形をなし,体をなしていくのである。ゆえに幼児を発達段階が標準にあるように指導しなければならない。その発達は個人差ありテンポは同一ではないし,順序は不動であって頭尾こうばい,中心的で末端であるゆえ,これらを念頭に今後将来の幼児教育はなされなければならないし,これからはなお一層,幼児心理学の勉強が必要せまられるのではないだろうか。
また,子供の自主的な判断による行動にまつべきこと,すなわち自由放任の世界を作ってやることである。それに幼児においてもそれぞれ個性をもっているのでそのよい個性は伸ばしてやることである。幼児期は遊戯の時代であって,幼児の活動はすべて遊戯に現れ,遊戯によって心身の活動が促進せられ,各種の機能が練習される。幼児にあっては,遊戯は,休養ではなく,成人の作業にも比せられるところの活動であるからちょうど,ネズミの迷路による経験学習と同様に必要かくべからざるものであると思う。
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