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司会 最近,施設内分娩が非常にふえてまいりまして,そのために病産院の分娩が多くなってきました.最近の統計を見ましても,昭和41年の施設分娩87.7%ということです.ことに市部に関しては92.5%になっておる.そういう分娩数の増加に伴って施設の改善,要員の増加ということが行なわれていないように思います.一方,産科病棟というもののあり方は,外国のようすをみますと非常に改善されてきている.ことに産科病棟というものは,健康な妊産婦,健康な新生児を扱うんであって決して病人を扱うところではない.治療の対象ではなくて,予防医学的な保健の対象として考えるべきものである.ことに妊産婦に対する保健指導とか教育も加味し,あるいは妊産婦に対する精神的な影響というようなものを加味して,できるだけ家庭的な雰囲気で分娩をさせ,産褥を送らせ,そして自分の子供の育児に対する十分な理解と自信とを持たせて家に帰してやるという,ひとつの方向が打ち出されてきていると思います.ひと言で言えば,どうも日本では病院の中における産科というものが,ほかの科と同じようなひとっの診療機関としてとらえられているけれども,そうではなくて,母子の保健機関であるというとらえ方をされなければならないというような問題があるんですが,最初にも申しましたように,最近の非常な施設分娩の増加にまにあわないというのがせいぜいのところであって,なかなかそこまで考えて改善されているような施設は,日本ではまだまだ少ないという気がするんです.きょうは東京都内の代表的な病産院からおいでいただきましたので,現在,産科病棟のあり方がどうなっているか,そこにおける看護管理はどうなっているか,特にそのなかにおける助産婦の役割がどういうふうになっているか,というようなことについても,いろいろお話を伺って,現状のお話だけでなくて,将来こうあるべきだというようなビジョンをいろいろ話していただきたいと思います.
それでは最初に,ひとつ国立第二病院のほうからお願いできますか.
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