分娩体験記
破水して一日半の後に
𠮷野 須美
pp.42-43
発行日 1968年2月1日
Published Date 1968/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203522
- 有料閲覧
- 文献概要
□もしや胸でも……□
結婚して2カ月足らず,生理中に風邪で微熱が出て以来,1カ月経っても一向に熱が下がらず身体がだるくて仕方がない.元来あまり丈夫な方ではなかった私は"もしや胸でも……"と心配になって医者通いが始まった.レントゲン,血沈,尿検査,心電図etc.……検査が進むうちに生理が40日もないことに気がついた.身体の調子が悪いので不順になっているのかと思いながらも,その旨を先生にお話すると,「おめでたかもしれませんね.50日経たないと診察してもはっきりしませんから,50日経ってから診ていただきなさい」とのお話である.個人病院の方がゆき届くし,いつも決った先生に診ていただけるので,都内の個人病院で一番といわれる歴史のある専門病院の院長先生に紹介していただいた.
幾分食物の好みが偏よった程度で,戻すこともなくつわりの時期も無事に過ぎた.気分転換に日曜には郊外へ出かけ,土曜もたびたび主人と待合わせては外で好きな物を食べていたのが良かったかもしれない.胎動を感じるようになると,不思議と自分のお腹が愛しく思えて,無意識のうちに撫でている時があった.
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.