新生児・乳児の対症看護シリーズ 乳児におこりやすい病気
伝染性疾患と予防接種
金子 義徳
1
1東邦大学医学部公衆衛生学
pp.30-37
発行日 1967年12月1日
Published Date 1967/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203491
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Ⅰ.はじめに
"伝染性疾患と予防接種"という課題でわれわれが理解すべき問題は,1つには原則論も必要であるが,さらに大切なことは,具体的な個々の疾患の場合にどのように理解し,指導するかという問題ではなかろうか.ここでは予防接種の実施される伝染性疾患に限って話をすすめたいと考えるが,迂遠なようでも,原則論からはじめたいと思う.
いうまでもないことであるが,伝染病は感染源—感染径路—感受性者の3因子がつながってはじめて発生する.この3因子のどこでつながりが断ち切れても伝染病は発生しないわけである.その際大切なことは,伝染病にはそれぞれ特殊性があって,この3因子のどれに予防の重点をおけば最も有効かということが一様ではないということである.伝染病対策は伝染病予防法で一括されているようにみえるが,実際の運用に際しては力のいれ所が必ずしも同じではない.同じような法律である結核予防法では,上記の3因子のいずれにも力がそそがれていることは患者の隔離,治療,BCG接種などを想い出せば容易に理解できる.
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