特集 予防接種の役割
予防接種の基礎知識
金子 義徳
1
1東邦大学・公衆衛生
pp.26-31
発行日 1964年5月10日
Published Date 1964/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203101
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昭和23年に制定された予防接種法は,その対象となる伝染病の予防に大きな役割を果たしてきたことは今さらいうまでもない.しかし伝染病は減少すると同時にその流行像にかなりいちじるしい変化をみせ,その結果として予防接種法の背景もまた変化した.このことは伝染病予防対策において果たす予防接種の役割も変えることを意味するばかりでなく,その実施計画にも検討の加えられる必要が生じることを意味している.年間約7000万といわれる予防注射の基本である予防接種法が,しばしば変更されるのも困まるが,疫学的背景の変遷につれてその実施方法が改正され,またワクチンの改良にともなう改正が行なわれるのも当然であろう.文中にもふれるように,百日咳ジフテリア混合ワクチンが昭和34年から実現したが,同時にその接種計画も変わったことはご承知のとおりである.それはそれなりの理由があったからであり,また表に示される接種計画も筆者からすればすでに改正する必要があると考えている.たとえば,第3期は小学校入学前に行なうことになっているが,その主旨は子どもの入学というその社会生活の変化に対応するためのものであると考える.しかし現在のごとく,過半数のものが保育所あるいは幼稚園生活にはいることを考えれば,当然その時期に対処すべきものである.さらにいうならば,現在の第2期は3歳児検診と同時に行なってもよいのではないかと考えている.
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