総説
予防接種について
金子 義徳
1
1公衆衛生院
pp.10-19
発行日 1962年1月15日
Published Date 1962/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202479
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
予防接種に関連する伝染病の5年ごとの発生患者数,死者数は第1表のごとくである,あるものは著しく減少し,あるものは依然として発生をつづけ,その間の変遷にはかなり著しい差異がある。この変遷は1)感染源対策,2)伝染経路対策,3)感受性者対策の3原則の上にたつ防疫対策において全く考慮の外におくというわけにはゆかない。防疫対策は上記3原則の中で最も効果的なものに重点をおくのが当然であるからであるこのような統計資料,昭和28年の赤痢全国実態調査1),あるいは昭和30年のジフテリア全国実態調査2)のごとき行政調査は防疫に極めて必要であり,重要な示唆を与えるものである。
昭和36年10月第17回日本公衆衛生学会において"予防接種の諸問題"のシンポジゥムがもたれたのも,上記の意味では時宜に適したものであり,重要な問題や今後の課題が提起された。本文においては筆者がシンポジゥムで担当した"ワクチンの効果と副作用"を中心に,その疫学的背景についても資料を提供しご参考に供したい。
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.