巻頭随想
自分も大切に
小柳 琴
1
1日本看護協会助産婦会
pp.9
発行日 1967年3月1日
Published Date 1967/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203353
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昨年11月5日から12日までの朝日新聞紙上にのせられた,ライシャワー氏の"日本という国"の記事に私は深く感銘をうけた.敗戦後自信をなくした日本人が,国土再建にその全精力を吸収してやまない,巨大な課題として考え,取り組んだ経過を駐日大使として身近かに,つぶさに見聞し日本人と話し合った中からの論説は,1.巨大な潜在力2.国際政治への無力感,3.取り戻した誇り,4.その役割,5.無限の活動分野とにまとめてある.その論旨から,私が学んだことは助産婦として,苦境をなげくのみでなく,この道と真けんに,積極的に立向う心の姿勢を整えるべきだと思った.
終戦後の日本にまき起こったすさまじい人工妊娠中絶の流行に,母親の健康に対する考え方,いのちの芽ばえを育む心は,日本の国から遠く押しながされて,ゆくえもはるかといった混乱のうずにまきこまれた.
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