連載 帰ってきた やなさん。・10
こんなときこそ,自分自身を大切に!
柳田 絵美衣
1,2
1慶應義塾大学病院臨床検査科ゲノム検査室
2慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット
pp.617
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208029
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が報道されはじめた頃から,多くの施設で対策が講じられてきた.当院でも“毎朝,検温し,37.5℃以上の場合は自宅待機とする”“院内では常時マスクの着用”“食事は1人無言でする”“長時間の公共交通機関の使用を自粛する”など,多くの策が講じられた.患者を守るため,院内感染を発生させないように,連日,注意喚起の案内が全教職員に連絡された.どれだけ注意を払っていても,そのときは来る.他院からの入院患者が新型コロナウイルスに感染していることが発覚.濃厚接触したと思われる医療従事者も“感染の疑い”となり,われわれ職員を震撼させた.海外では多くの医療従事者がウイルスの感染により亡くなっている.医療従事者は常に感染のリスクがある……それでも,その環境下でわれわれは,自分たちの責務を果たしている.「子どもに“もう,病院のお仕事辞めなよ”と言われました」と笑いながら話す医局の仲間も,毎日変わらず出勤している.いま,どれだけ多くの人が不安や恐怖を抱いているか……それは,われわれも同じだ.“検査を! 検査を!”と連日叫ばれているが,いつでもどこでも実施できる検査ではなく,その歯がゆさを感じている臨床検査技師も多くいるだろう.私もそのうちの1人だ.いまの自分に何ができるのか? なんの役に立てるのか?と.私は,一般の人たちの感染リスクを少しでも下げることはできないかと考え,某ポータルサイトのニュース記事として“マスクの正しいつけ方”について書いた.かなり多くの人たちが閲覧してくれている.私にできることは些細なことだが,1人でも感染から守れたら,と願う.
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