母性保健特集講座 妊娠
胎盤の機能と構造
山口 龍二
1
1東北大学産婦人科
pp.10-14
発行日 1963年8月1日
Published Date 1963/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202585
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■胎盤の構造
1.胎盤の構成要素,発生および卵の着床
胎盤は母側胎盤と胎児側胎盤とからなる.母体側胎盤は床脱落膜で,胎児側胎盤は絨毛と羊膜とからなる.脱落膜は本来子宮内膜であってこれが妊娠性変化を起こしたもので,子宮内腔全面にできるのが妊卵の着床した場所は特に肥厚して床脱落膜と呼ばれる.
発生学的にみると,卵は受精して卵管内を輸送される期間(約3日間)は盛んに分裂して数を増すが妊卵全体の大きさは最初とほとんど変わらずまた絨毛の発生もない.これは非常に重要なことで,もし卵管を通過する間に大きさが増したり絨毛が発生したりすれば妊卵は卵管を通過しえなくなりまた卵管内に着床することになる(卵管妊娠).妊卵が卵管を通過するのには約3日,子宮内にはいってから着床までさらにまた3日を要するといわれているが,卵管を通過する3日間に卵は桑実胚という状態になり(桑の実のような姿をしているのでこう呼ばれる.)子宮内に達するころには桑実胚を作っている細胞は内外二層にわかれ外層が栄養胚葉(トロホブラスト)内層が胎芽胚葉と呼ばれ前者は絨毛膜(胎児側胎盤)後者は胎児となる(第1図).
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