特集 胎盤
その基礎と臨床
胎盤の構造—胎盤機能への形態的アプローチ
渡辺 行正
1
,
北原 敬市
1
,
西井 治子
1
Yukimasa Watanabe
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科教室
pp.955-958
発行日 1966年12月10日
Published Date 1966/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203600
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はじめに
昨今,胎盤に関する興味とその重要度が識者間に著しく高まりつつあることは,胎盤に関心をもつものの一員として真に喜ばしく感ぜられることの一つである。
胎盤はいうまでもなく胎生発育のコントローラーとして重大な役目を果していることは誰しも十分認めているところであり,従つて古来産科学の重要課題として胎盤の研究が常々行なわれてきたことも周知のことである。しかし胎盤がいかなるメカニズムでその複雑な機能を遂行するのか,代謝器官としてあるいはまた内分泌器官として,いかなる部位でいかなる細胞がこれら複雑多岐な機能を営むのか,これら胎盤の行なう微妙なふるまいについてはその本質は今なお十分解明されていない。この点が,今日胎盤に対する興味と重要度を齎したものと考えられ,なおまたこの点の解明いかんが産科学の前進を握る鍵ともいえるものである。
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