連載 リプロダクション講座・6
胎盤における物質輸送
山口 龍二
1
,
竹井 啓裕
1
,
潮田 悦男
1
,
飯藤 隆子
1
Ryuji Yamaguchi
1
1奈良県立医科大学産婦人科学教室
pp.533-539
発行日 1975年7月10日
Published Date 1975/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205204
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胎盤の果す役割は数多くあるが,そのうちでも物質移送に関する機能は,物質の運搬媒体である子宮胎盤血流とともに胎児の生命維持,成長発育にとつて必須かつ第一義的な位置を占めるものであることは疑いがない。しかし胎盤完成以前における母児間物質移送についてのわれわれの知識はきわめて乏しく,また研究対象とし易い妊娠末期についてもヒトにおける研究もさることながら,むしろ動物実験の上の知識に頼つている部分も多い。霊長類の胎盤は構造上他の種の動物とかなりの差があることを考えれば,ヒト胎盤における知識の空白はいずれはヒト胎盤の研究によつて埋められなければならないものと筆者は考えている。
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