連載 リプロダクション講座・4
胎盤と胎児付属物の形成
山口 龍二
1
Ryuji Yamaguchi
1
1奈良県立医科大学産婦人科学教室
pp.303-309
発行日 1975年4月10日
Published Date 1975/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205171
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長い進化の歴史の中で,有性生殖をいとなむ動物はみずからの生命の継承者である受精卵を,その孵化に至るまで,間に種々の進化の差はあるにせよ,母体との直接の接触なしに発育させ世に送り出す方法をとつてきた。この意味で有胎盤類の出現は動物の進化の歴史の上でまさに画期的なものであつたといえよう。しかし,母体内で胎盤によつて妊卵を育てることについては,母児間の免疫学的妥協,栄養補給,成熟した妊卵の娩出,その他の面で多くの困難な問題を抱えており,おそらくはかり知れないほどの試行錯誤を経て,現在進化の頂点にある霊長類の胎盤にまで発展してきたものと考えられる。本稿においてはそのような意味からヒトにおける胎盤形成の過程についての概略を解説してみたい。
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