講座 赤ちやんを中心とした産科学・7
子宮内アノキシアとその対策(2)
伴 一郎
pp.17-19
発行日 1962年3月1日
Published Date 1962/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202287
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2.子宮内アノキシアが新生児に及ぼす影響
前章で私は,胎児がアノキシアに陥つた場合には,まず心拍動数が減少し,ついで呼吸運動を開始,胎便を排出,やがて呼吸中枢が麻痺,その他の中枢も麻痺,循環系の虚脱を起こして死亡する.一過性のアノキシアでは呼吸中枢が麻痺するようなところまで行つていても,アノキシアの解消とともに心拍動数のみはいちはやく回復し,生まれるまでは一見何の異常もないように見える場合がある.ということを述べました.
胎児がアノキシアを起こしても,そのまま母体内で死亡するとは限らず,それまでのいろいろの時期に娩出せられるものがあるわけで,(1)心拍動数は減少しているが,まだそれ以上の変化(呼吸運動その他)を起こしていない時期に娩出せられた場合(2)すでに呼吸運動を開始しているが,まだ呼吸中枢麻痺やその他の中枢の麻痺,循環系の虚脱を起こしていない時期に娩出せられた場合(3)すでに呼吸中枢の麻痺を起こすところまで行つてから娩出せられた場合というふうに三つに大別して症状,経過,予後などを説明して行こうと思います.
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