Medical Scope
胎児の急性アノキシアと高ヘマトクリット血症
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.728
発行日 1977年11月25日
Published Date 1977/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205302
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出生時に新生児仮死となり,仮死蘇生術をうけた症例で,呼吸は確立したものの,何となく色が青白く元気のない新生児があることを助産婦諸君は何例となく経験されていることでしょう。今月は,そのような症例の血液の成分についての話題です。
出生直後に新生児は,私たち成人よりも多血症だということ,つまり,単位体積に対して,血球の成分が多いという事実はよく知られています。これは胎児時代の名残りをとどめているわけですが,分娩中に急性のanoxia無酸素状態になった症例,すなわち,急性の胎児仮死fetal distressとなって,仮死状態で出生した新生児では,特に,一段と,血液中の単位体積に対する血球成分が多いということが明らかになっています。日常,私たちの表現では,ヘマトクリット値が高いといいますが,最近では,高ヘマトクリット血症という呼び名がよく用いられます。
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