講座
赤ちやんを中心とした産科学—第6回 子宮内アノキシアとその対策(1)
伴 一郎
1
1国立京都病院産婦人科
pp.23-25
発行日 1962年2月1日
Published Date 1962/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202273
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子宮内アノキシアIntrauterine Anoxiaとは子宮内にある胎児,あるいは分娩の途中にある胎児が酸素欠乏の状態(アノキシアAnoxia)に陥ることをいい,胎児および新生児死因の一つとして重要な役割を演じているばかりでなく,脳性小児麻痺の原因としても大いに重視せられているものの一つであります.
胎児がアノキシアを起こしうる場合としては,(1)母体のショック,心不全,高度の貧血,子癇の発作,頑固な咳嗽,不用意に行なわれた吸入麻酔など,母体自身が循環不全やアノキシアに陥つた場合(2)痙攣陣痛,過強陣痛,あるいは前期破水など,子宮壁の収縮によつて,胎盤への母体の血行が持続的に阻害せられた場合(3)前置胎盤,低在胎盤,および正常位置胎盤の早期剥離,胎盤の梗塞など,胎盤におけるガス交換面積の減少した場合(4)臍帯脱出,臍帯下垂,臍帯の真結節,臍帯巻絡,骨盤位分娩など,臍帯血行の障害せられた場合などがあげられますが,まずアノキシアが児におよぼすべき影響をやや具体的に堀下げて説明し,しかるのち,その対策--児がアノキシアに陥るのをどうすればよいか--について,私の考えをのべていこうと思います.
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