Japanese
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文献抄録
肺循環に及ぼす進行性全身アノキシアの影響,他
The Effect of Progressive General Anoxia on the Pulmonary Circulation.
百瀬 達也
1
1東大美甘内科
pp.140
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200149
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アノキシアに於ける肺動脈圧,肺血管抵抗,肺血流量の変化についての観察は種々の方法で行われているが,著者等は7頭の麻酔犬について陽圧人工呼吸下に,呼吸ガス中の酸素濃度を漸次減少させつつ,大動脈肺動脈,左房圧曲線を記録し,これらの変化から進行性アノキシアの及ぼす諸影響を検討した。呼気ガス中の酸素濃度を21,13,11,8,6,5%と漸次減少させるに従つて,脈搏数は増加し,大動脈の縮期圧,弛期圧共に上昇,脈圧は増加し,左室の搏出量が増加することを示した。肺動脈圧の変化も同様で,脈圧もかなり増加し,右室の搏出量が増加することを示した。左房圧は高度のアノキシアとなつても変らないが,末期に至つて上昇した。しかしこれは大動脈圧,肺動脈圧の上昇とは,無関係であつた。迷走神経を切断したものでは,アノキシアと大動脈圧,肺動脈圧の上昇傾向は,無切断時と同様であるが,末期に大動脈圧は肺動脈圧が上昇しているに拘らず下降し,左室不全が右室不全に先行することを示した。左肺の肺血流量を流速計で直接測定すると,アノキシアによる血液量の増加は,肺動脈圧の上昇と同時におこるか,又はややこれに先行した。10%酸素換気時の増加は3〜60%(10例平均26%)であつた。圧/血流量から算出した血管抵抗は4例7回の実験で2例のみ上昇,1例は減少を示したが血管收縮との関係は即断出来ない。
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